アクアポニックスの基本の工作(改訂)

アクアポニックスの基本の工作

1.塩ビ管の切断

 塩ビ管を切るために、筆者は、塩ビ用のノコギリを使います。

刃がこぼれ、柄に書かれていた文字も消えてしまいましたが、20年以上の愛用品です。

 パイプを切るためには、本来、専用のパイプカッターという工具があり、パイプカッターを使えば、切り口が斜めではなく、パイプに対して正確に直角に切れます。

 ですが、若干斜めでも、切り口はどうせ接続継ぎ手の中に差し込んでしまいますので問題ありません。大体、まっすぐに切断できればいいので、筆者はノコギリ派です。

何となく、パイプに直角にノコギリをあてます。
ひたすら切ります。

 塩ビ管に対して、大体、直角にノコギリの刃をあてて、ひたすら切ります。

 言うまでもないことですが、塩ビ管を地面に直接置くのではなく、下にブロックなど(写真は椅子の座面ですが)の堅い安定した物を置き、切る場所が、空中になるようにするのがポイントです。

 でないと、ノコギリの先端が地面にぶつかります。

2.Pカッターで穴を開ける

 プラモデル工作用のプラスチック板を切断するためのプラスチックカッター、通称Pカッターです。

13リットルコンテナボックスとPカッターの比較

 切りたい部分に刃を当てて、紙を切るカッターのように引くと、プラスチックが削れて、浅い溝が掘れます。

 同じ場所に何度も繰り返して刃を引くと、溝が深くなり、やがて刃がプラスチックを貫通するか、手で軽く折れるようになります。

枠に合わせて、刃が貫通するまで四角く溝を掘ると、穴が開きます。

 プラスチック板を切る場合は、金属定規を刃に添える必要がありますが、ボックスコンテナの裏面は、上の写真のように四角い枠がありますので、枠に合わせて四角く溝を掘り、溝が深くなったら、穴の中身の四角い部分を指で押し込めば、簡単に穴が開けられます。

左右対称に穴を開けてみました。

 筆者は、プラモデル工作が趣味であるため、たまたまPカッターを持っていましたが、穴を開ける方法は他にもあります。

 上記で紹介した、塩ビ用ノコギリの先端部を利用して、Pカッター同様に、四角い枠なりに、地道に傷をつけて溝を掘っても、同じ結果が得られます。

 工具の汎用性を考えると、Pカッターよりも、次に紹介する、ホットナイフのほうが実はお勧めです。

3.ホットナイフで穴を開ける

 ホットナイフの先端に、ハンダゴテを装着します。

 プラグをコンセントに差し込んでしばらくするとハンダゴテが高温になりますので、穴を開けたい場所にコテの先端を当てて刺すと、穴が開きます。

事例1

VP13の塩ビ管に、コテを当てています。
パイプに等間隔に、穴を開けた様子です。
穴を開けたパイプに水を流せば、シャワーの様に、穴から水が出ます。

事例2

13リットルコンテナボックスの底に、小さな穴を無数に開けました。
コンテナボックスを重ねて、上段に水を入れると、シャワーの様に下段に水が流れます。

事例3

発泡スチロールの板に、適当な丸い穴の目印をつけます。
目印に沿って、丸く発泡スチロールをコテで溶かすと穴が開きます。
穴にスポンジを巻いた作物の苗をはめて水に浮かべれば、水耕イカダです。

4.ドリルで穴を開ける

 ドリルでの穴開けの様子です。

 バルブソケット20mm用の穴開けの事例です。

バルブソケットの一番口径の太い部分(雌ねじの外径)を穴を開けたい場所にあて、周囲を油性マジックでなぞります。
ピンぼけですが、マジックのあたり線です。
先ほどの丸の内側に、バルブソケットの一番細い部分(雄ねじの外径です)を、ほぼ中心にくるようにあて、周囲を油性マジックでなぞります。
丸の中心に、ドリル刃の中心をあてるため、あたりの点をつけます。
ドリル刃の先端を中心点にあて、ドリルを回転させます。
写真は、ホールソー口径28mmです。
穴が開きました。ドリル刃に、抜けた穴の破片がくっついています。

5.バルブソケットの設置

 穴を開けた水槽に、バルブソケットを設置する様子です。

水槽の内側から、バルブソケットの雄ねじ側を、開けた穴に差し込みます。
ピンぼけですが、水槽の外側に雌ねじ側です。雌ねじに雄ねじをねじ込んで、固く閉めます。
水槽の内外から、バルブソケットで挟み込みます。
写真は、13リットルコンテナボックスですが、バルブソケットと水槽の隙間から水が漏れないように、シリコーンを周囲に塗って、防水します。割り箸をへら代わりに使っています。
雄ねじ側の防水の様子です。
雌ねじ側の防水の様子です。
シリコーンが乾けば、もう水は漏れません。

 以上の5項目が、筆者がアクアポニックスをつくる際に多用する、主な工作です。

 基本的には、容器に穴を開けて、塩ビ管で容器と容器を接続するという工作になります。

 ドリルがあれば、穴開け作業は格段に簡単になりますが、本格的な工具になりますので、二つ三つ穴を開けるためだけに、ドリルを購入するのは正直ためらわれると思います。

 筆者も、しばらくはPカッターやホットナイフで、時間をかけて穴開けを行っていましたので、ドリルは、いつかは欲しい工具程度の認識で良いと思います。

 一番多用する工作は、塩ビ管の切断になります。

 その場合でも上記の様な塩ビ管用の専用ノコギリである必要はありません。

 手始めは、百円ショップで売られている、木工ではなく金属用のおもちゃみたいなノコギリで代用できます。

 詳しいことは、項を改めていずれお話しします。

 ここでは、写真を見て、「なぁんだ、この程度の工作ができればいいのだ」程度の、イメージを持っていただければと思います。