ポンプ槽の製作の第2回です。
前回は、ホースと塩ビ管を接続するところまででした。
それでは、ホースの塩ビ管に繋がっていない側を、水中ポンプの排水口に接続してください。
80リットルトロ舟(または22リットルコンテナボックス)の中に丸籠を置き、丸籠の中に、水中ポンプを置いてください。まだ、電源は接続しません。
丸籠は、80リットルトロ舟内の水を水中ポンプが吸った際に、大きなゴミまで吸ってしまわないよう、簡易的なフィルターの役割を果たします。
筆者が使用しているポンプには、吸盤が付属していて、吸盤でポンプを水槽の底面や壁面に貼り付け、倒れないようにする仕組みになっています。
けれども、今回は籠の中という、底が曲面の環境であるため、あまり吸盤は役に立ちません。
ポンプは自立せず、ホースと塩ビ管の重さで倒れてしまいますので、何かに塩ビ管を縛り付けて、倒れないようにする必要があります。
幸い、60リットルタライの縁には、植物栽培用のポールを差し込むためと思われる穴が、複数開いています。
ひもや園芸用の針金等を使って、タライの穴に、立てた塩ビ管が倒れてしまわないように結んでください。
または、穴にポールを差し込んで立てて、立てたポールと塩ビ管を縛ってください。
ホースに接続されていない塩ビ管の上端側には、口径13mmのT字継手を差し込みます。
ポンプで吸い上げた水を、T字継手で左右に分割して、それぞれ魚飼育槽と作物栽培槽まで届けられるようにするためです。
したがって、塩ビ管を立てて縛り付けるべき場所は、左右を魚飼育槽と作物栽培槽に挟まれた、両方の槽の中間付近が適当です。
その際、なるべくT字継手が、水平になるようにしてください。
左右に水を分割するT字継手のどちらか一方が大きく下がっていると、水は、下がっている側へ多く流れようとしてしまいます。
アバウトに塩ビ管が倒れないようひもで結んでいるだけなので、厳密な水平の確保は困難ですが、概ね水平となるようにT字継手を固定してください。
ポンプ槽から水を吸い上げる際に使用する塩ビ管の口径は13mmです。
一方、魚飼育槽なり作物栽培槽から排水する塩ビ管の口径も13mmです。
どちらも同じ太さであるため、流れる水の量も同じ気がしてしまいますが、実際は流速が違います。
ポンプ槽から吸われる際の流速は、ポンプで機械的に吸われるために速く、魚飼育槽なり作物栽培槽から排水される際の流速は、自然流下のため遅くなります。
流れる水の量は、流速×時間で計算されます。
極端な話となりますが、もし、T字継手の傾きが大きく、水がどちらか一方の槽のみにしか流れ込まなかった場合は、排水される水よりも流入する水の速度が速く、流量も多くなるため、水は、やがて槽内を満たした後、タライの上から溢れるようになってしまいます。
そうならないよう、流入する側の口径13mmに対して、排水される側の口径が例えば20mmであれば、どれだけ水が流れ込んでも出て行く側の穴のほうが大きいので水は溜まらないのですが、今回は穴開け加工はせずに製作しているため、出口の穴の大きさは変更できません。
そのため、水を分割することによって、ポンプから各槽に送り込まれる水の量よりも、自然流下で排水できる水の量が、多くなるように調整しています。
分割する水の量が、左右で概ね等しくなるようにすることで、一方の槽に流入する流量が、槽から排水できる流量を超えてしまわないよう、気をつけるわけです。
出口の穴を広くするのではなく、入口側を二分の一に、狭くするという理屈です。
今回の製作では、魚飼育槽と作物栽培槽をそれぞれ1槽ずつつくる場合の説明をしていますが、以前の模式図で紹介したように、作物栽培槽を3槽設置して、計4槽に、ポンプで吸った水を四分の一に分割して流し込むようにすれば、水平に若干の偏りがあった場合でも、流入水量より排水量が少なくなってしまう心配は、まずありません。
または、筆者が使用している水中ポンプのように、流量を調整可能なポンプもあります。
吸い上げる水の量が多すぎる場合は、目盛りを絞って、流量を減らせます。
そのような製品であれば、まず安心です。
さて、魚飼育槽と作物栽培槽の間に、上端にT字継ぎ手をつけた塩ビ管が立ちました。
それでは、魚飼育槽と作物栽培槽に水を送るための塩ビ管を、T字継手の左右の穴に、それぞれ差し込んでください。
作物栽培槽の場合、塩ビ管から軽石の上に流れ出た水を、作物栽培槽のどこにある作物も吸えるよう、なるべく作物栽培槽の中央付近に、水の出口がくるようになる位置どりが理想的です。
したがって、T字継手に接続する塩ビ管の長さは、T字管から、作物栽培槽の中央付近までの長さです。
必ず中央でなければならないというわけではないので、今回の作例では、概ね40センチメートル程度に塩ビ管を切断してつなげば良いでしょう。
魚飼育槽の場合は、中央付近ではなく、排水のための塩ビ管が立っている側とは、反対側の端近くに水を流し入れます。
というのは、なるべく、魚飼育槽の底に沈んだ、糞などのゴミを、循環する水の流れに乗せて、排水管から流して出してしまいたいからです。
魚飼育槽の端から端まで水の流れができるようにして、立てた排水管とは反対側の端に沈んだゴミも、水の流れで、排水管側に流れ寄るようにするのです。
とはいえ、厳密に配水管の反対側でなければならないというものでは、やはりありません。今回の作例では、概ね50センチメートル程度に塩ビ管を切断してつなげば良いでしょう。
魚飼育槽と作物栽培槽それぞれの上まで塩ビ管が配管されました。
もし、この状態でポンプ槽の中に水があり、ポンプを通電させると、ポンプが吸い上げた水は、ホースと塩ビ管の中を通って、T字継手で左右に分割され、魚飼育槽と作物栽培槽の上空で、塩ビ管から放出されるはずです。
水は飛び散り、周囲一帯、水浸しになってしまいますので、そうならないよう、魚飼育槽と作物栽培槽の上まで伸びてきている塩ビ管の口に、口径13mmの90°エルボを接続して塩ビ管の口を下向きに変えて下さい。
とはいえ、この状態でもまだ、通水してしまうとエルボの口から下向きに放出された水が、辺りを水浸しにしてしまいます。
したがって、エルボの口から、魚飼育槽の水面付近、作物栽培槽の軽石の表面付近まで、さらに塩ビ管で水を誘導してあげる必要があります。
水が落下する距離を短くして、飛び散る水の勢いを弱めるためです。
魚飼育槽、作物栽培槽ともに、表面付近まで水を誘導する状態となりました。
次回に続きます。
かにかに