はじめに

 アクアポニックスとは、魚を飼育しながら魚の老廃物を肥料として野菜を栽培する行為です。

 本ブログでは、金魚やメダカを飼育しながらアクアポニックスで半自給自足的に野菜を栽培して、災害などの緊急時にスーパーの棚が空になる事態に備える方法を紹介しています。

 また、もし穫れた野菜が余ったら、ご近所さんや、こども食堂、フードドライブ等にお裾分けして、みんなで助け合いましょう、というテーマを、筆者は心に抱いています。

例:水槽の上部濾過槽で野菜を栽培

 現在、錦鯉のインターネットオークションと言えば、ヤフーオークションが代表的ですが、西暦2000年頃は、まだ過渡期で、もうなくなってしまったBiddersオークションが、主流でした。

 当時、筆者は水槽での錦鯉飼育を広める活動に力を入れており、錦鯉の水槽飼育を『水槽錦鯉』と名付け、『水槽錦鯉かにかに』という名前で、「水槽で錦鯉を飼いませんか? 略して『水槽錦鯉』へようこそ」という、ホームページを公開していました。

 たまたま筆者のホームページを目にした、当時のBiddersの担当者から連絡をいただき、Biddersオークションのメルマガで、『水槽錦鯉』の連載もしました。

 参考までに、『水槽錦鯉』のホームページをおさらいすると、こんな感じです。

60センチ水槽内で錦鯉を産卵させます。
底にある粒々が、すべて卵です。
ふ化した錦鯉の稚魚です。
やがて錦鯉っぽい模様がでてきます。
ふ化後約二ヶ月の様子。
ふ化後約四ヶ月の様子。
ふ化後約三年。親になり、再び産卵です。
水槽内では、錦鯉はあまり大きく育ちません。継代飼育が十分に可能です。

 ホームページ開設当時、ホームセンターのペットコーナーで錦鯉はほとんど販売されていなかったのに対し、少なくとも筆者の家の近所のホームセンターでは、錦鯉の当歳魚を販売する水槽の一つや二つは、必ずあるようになりました。

 同様のコンセプトのホームページやブログを公開する方も増えてきましたので、少しは錦鯉飼育の間口を広げる役割を果たせたのではないかと自負して、公開を終了しました。

 その後、10年近くを経た2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震、いわゆる東日本大震災が発生しました。

 近所のスーパーやコンビニの棚から、一斉に食べ物や飲み物がなくなった衝撃を、鮮明に記憶しています。普段であれば、当たり前すぎて気にも留めていなかったのですが、誰かに自分と家族の食料を委ねきってしまっている危険を強く感じました。

 その後も各地で気象庁が名称を定めるような大きな災害が頻発し、その都度野菜の高騰や品不足が話題になっています。

 乾物ならば、余分に買い、備蓄しながら使い回すという方法がとれますが、生ものの場合はそうはいきません。

「自給自足」に憧れたとしても、たいていの家庭には、農地がありません。

 けれども、筆者には水槽がありました。植物好きの人が、庭や家中、所狭しと植木鉢やプランターを並べてしまうように、筆者の場合は、日に日に水槽が増えている状況です。

 それらの水槽の水面と濾過槽を使い、魚を飼いながら、その老廃物中の肥料成分を利用して水耕栽培で野菜を育てる、いわゆるアクアポニックスで、常に何らかの野菜を収穫できる状況を確保できないかと考えました。

 理想は「自給自足」ですが、いきなりは難しいので、まずは「半自給自足」です。

 災害時でも、例えば、小松菜が一束あれば、買い置きの味噌と水とカセットコンロで、温かい味噌汁がつくれます。お米を足して、雑炊を作っても良いでしょう。

 トマトやキュウリなら、そのまま食べても小腹を満たせます。

 そのうえ、東日本大震災後、『水槽錦鯉』当時の読者から、「計画停電を機に、魚を飼うことを諦めました」という声がいくつも届きました。

 観賞魚飼育に、ただの趣味というだけでなく、食糧確保という実益面もあれば、違う判断もあったかも知れません。

 そこから『水槽錦鯉』に次ぐ、あらたなテーマが決まりました。

『魚を飼いながら野菜を生産して、非常時にも備える』

 名付けて『水耕錦鯉』です。

一番上の写真の野菜を一部収穫。ボールペンは、収穫した面積の比較用です。
ボールペン部分から収穫された野菜の量。一鍋の味噌汁には十分です。

 興味のない人からは、ただのマニアックな趣味である観賞魚飼育に、災害に備えた備蓄機能という付加価値を与えようという、実験的な取り組みです。

 もちろん、災害時ばかりではなく、普段、野菜を買うための食費を浮かせようという目論見もあります。

 必要な野菜のすべてを、この取り組みでまかなえるとまではいきませんが、例えば、小松菜やトマトといった限定品目については、自宅でまかなえる体制を整えたいと考えています。

 そのための情報発信と情報共有の拠点として、本ブログを立ち上げた次第です。

 まずは、筆者の事例を参考にしてもらい、こうやったらうまくいったよとか、こうしたら大失敗とか、そんなやりとりができたらいいなと考えています。

 DIYで色々な工作もしてみたいと思っていますので、気に入ったら真似をして、感想を教えてください。但し、工作は、くれぐれも自己責任で。

 ところで、本ブログのタイトルは『水耕錦鯉』となっていますが、魚が錦鯉である必要はまったくありません。

『水耕金魚』でも『水耕メダカ』でも何でもいいのです。適当にアレンジして挑戦してみてください。

 ただ、『水耕海水魚』と言われてしまうと、私にはお手上げです。誰か試した方がおられましたら、挑戦の結果を教えてください。

 さあ、あなたも、『水耕錦鯉』を始めませんか?

 と、本来ならば、ここで話を終えるつもりでしたが、もう少し続けます。

 唐突ですが内閣府が2018年7月31日に公表した2017年の子どもの貧困率は13.9%。日本の子どもの「7人に1人」が「貧困状態」にあるという結果でした。

「7人に1人」という数字は、1クラス35人の教室であれば、5人が「貧困状態」という計算になります。筆者が気づいていないだけで、もしかしたら、筆者の子どもと同じクラスのお友だちにも、そのような子が何人もいたのかも知れないと考えると、いたたまれない気持ちになります。

 一日のうちでまともな食事は、「給食だけ」という子どももいるそうです。

 給食がない長期の休みの期間中は、その一食すらままならないという話も聞きます。

 筆者が子どもの頃、ひたすら楽しいだけだった学校の長期休みが、「貧困状態」の子どもにとっては、非常時になるだなんて、悲しすぎます。

 さきほど、『魚を飼いながら野菜を生産して、非常時にも備える』という話をしました。

『水耕錦鯉』という言葉を考えた時、『非常時』とは『災害時』を想定していました。

 でも、子どもにとって十分なごはんを食べられないという日常は、比べられるものではありませんが、大人の災害時よりも、もっと非常時です。

 何とかしてあげられないかなという気持ちを、より強く感じます。

 だからといって、何か大したことができるわけではまったくないのですが、この『水耕錦鯉』という取り組みで、少しは役に立てはしないかとは思っています。

 例えば、金魚すくいの金魚を飼っている小学生が、毎日の餌やりの延長程度の手間で、トマトやキュウリを収穫して口にできれば、少しは空腹をまぎらせられると思うのです。

 毎日、トマトが食べられたところで根本的な解決には全くなりませんし、水分があるだけでキュウリには栄養なんかほとんどないとも聞きますけれども、それでも何も口にできないよりは、できた方がいいに決まっていると信じます。

 もしかしたら、金魚を飼う道具なんか買えないよと言われてしまうかもしれませんが、金魚の一匹二匹を飼うのに、大した道具は必要ありません。

 大人が趣味でやる手の込んだアクアポニックスや商業用の大規模なアクアポニクスとは別に、子どももできる、夏休みの自由研究レベルの簡単なアクアポニクスの工夫も、これから紹介していきたいと考えています。

 話が重くなりましたが、例えば『こども食堂』の取り組みのように、筆者の微力で、少しでも困っている子どもの役に立てないかな、という願いも、本ブログ開設の動機の一つです。

 今後、このブログに何か役に立ちそうな情報が載ることがありましたら、その情報を、必要としている誰かに教えてあげていただけると幸いです。

 以上が、本サイト『水耕錦鯉』の紹介です。

 これから、よろしくお願いします。

かにかに

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水耕錦鯉 Aquaponics-Nishikigoi