ポンプにメダカが吸い込まれないようにするために、魚飼育槽とポンプ槽の間に、水だけが入った槽を挟みましょうという話を前回しました。そうすれば、万が一魚飼育槽からメダカが流出してしまっても、水だけ槽の中を泳いでいる間にメダカを発見して、網ですくって魚飼育槽に戻せるからです。
さらに、水だけ槽の上に作物栽培槽を設置すれば、スペース的な無駄もなくせます。
本ブログの本来の趣旨である、アクアポニックスは、まさしくそれです。
この方法の欠点は、水だけ槽や作物栽培槽の製作に、穴あけ工作が必要になるという点でした。
できれば、穴あけ工作はしたくないという方におすすめなのが次の工夫です。
単純にポンプ槽をなるべく大きな容器にしてしまい、ポンプ槽内に、メダカがポンプから離れて泳げるような空間を、広く確保するという方法です。
ポンプの間近は、吸い込む力が強くて危険ですが、ポンプ槽が広ければ、流れ落ちてきてしまったメダカが、ポンプに近づかなくても泳げる場所があるので、安全です。
ポンプの周りを、籠や網で囲って、万が一、メダカが近づきすぎてしまっても、ポンプに吸い込まれないようにしてあげると、さらに効果的です。
広いポンプ槽内にメダカが泳いでいるのを見つけた場合は、やはり、網ですくって、魚飼育槽にメダカを戻します。
ポンプ槽の水深が、籠の縁を越えてしまわないように注意してください。
水が籠の縁を越えると、縁を乗り越えて籠の中にメダカが入ってしまい、吸われてしまいます。
籠や網の目を通り抜けてしまう大きさのメダカに対しては、水深にかかわらず、効果が下がりますが、何も設置しないよりは、遥かに安全です。
籠や網の目にゴミが詰まったり、藻が生えたりして、ポンプの吸い込む力を損ねてしまう場合があるので、時々、ゴミや藻を取り除いてください。
ポンプ槽を大きくした場合の欠点は、広いポンプ槽の上に、水だけ槽同様、無駄な空間ができてしまうことですが、ポンプ槽の上に金網や板を渡して橋をつくり、橋の上に市販のプランターや植木鉢といった作物栽培槽を設置すれば、空間を有効に活用できます。
市販のプランターや植木鉢であるため、余計な穴あき加工をしなくても良い点が利点です。もちろん、メダカポニックスではなく、通常のアクアポニックスでも有効な工夫です。
気を付けなければならない点は、作物栽培槽から流れ落ちた水が、金網や板といった橋の表面を伝わって、ポンプ槽の外に流れ出してしまう危険です。
水漏れ事故には、常に注意を払ってください。プランターや植木鉢から流下する水が、橋に当たらずに、直接、ポンプ槽内に落ちる状態を保つようにします。
例えば橋を二本の板や角材にして、植木鉢の底の穴がうまく板と板の隙間になるようにしてやると、橋の表面を水が伝わって流れてしまう危険を減らせます。
橋ではなく、ポンプ槽内に足場を置いて、その上にプランターや植木鉢を置く方法も有効です。
この方法であれば、作物栽培槽内を流下した水が、ポンプ槽の外に流れ出してしまう心配はありません。
筆者は足場として、逆さにした目の大きな籠をよく使いますが、逆さにした植木鉢を足場として利用しても良いでしょう。
筆者が目の大きな籠を使用しているのは、籠の内部も水が流れてくれるためです。
ポンプ槽内に足場を置く方法の欠点は、魚水槽から流下したメダカが、ポンプ槽内を泳いでいる事実に気がついても、すぐ物陰に隠れてしまって、捕まえて魚水槽に戻すことが困難な点です。
けれども、意外と隠れ家のある状況に慣れてしまったメダカは、特にポンプに吸い込まれることもなく、そのまま、ポンプ槽内で普通に暮らしていますので、魚にとっては、そう悪い環境ではないのかもしれません。
前回お話しした水だけ槽を挟む工夫と、ポンプ槽を広くしてしまう工夫は、メダカに限らず、どのような魚を飼育する場合でも有効な工夫です。金魚や鯉の稚魚、その他の小魚といった、メダカとそれほど大きさが変わらない魚は、常に魚飼育槽から流出してしまう恐れがありますので、同様の対策をとっておくと、安心して飼育できます。
例えば、複数の金魚を長く飼っていますと、春になり、魚飼育槽内で勝手に産卵してしまう場合があります。
そのまま何も対策をとらないでいると、いずれ、親魚により、卵はふ化するまでもなく食べ作らせてしまうのですが、水だけ槽を設置したり、ポンプ槽を広くとっていた場合は、魚飼育槽から流れ出した卵が、いつのまにか、水だけ槽やポンプ槽の中でふ化をして、ある時、稚魚が泳いでいる事実に気がつく場合があります。
筆者の場合は、横連結式の水だけ槽を複数つなげて、ある意味、川のようにしていますので、作物の収穫や掃除のために、水だけ槽の上の作物栽培槽を外す度に、何らかの魚が、下段にある水だけ槽内を泳いでいます。
メダカであれば、ふ化して二か月もすると成魚となり、産卵を開始するようになりますので、広いポンプ槽内の足場に隠れて、なかなか捕まえられずにいたメダカを放置しているうち、気づくとそのメダカが、親になってそこで産卵を行っていたという事件が普通にあります。
こうなると、もはや、どこが魚飼育槽だかわかったようなわからないような状態ですが、案外、それもまたメダカポニックスの楽しみ方なのかもしれません。
メダカでアクアポニックスを行う場合の大きな注意点というか大きな工夫は、以上です。
次回は、メダカの飼育方法について簡単に触れて、メダカポニックスの項を終える予定です。
それでは。
かにかに