今回は、メダカの飼い方です。
ただ、メダカを飼育するだけであれば、それほど難しい話ではありません。
メダカを一尾飼育するためには、単なる止水の場合、約2リットルの水が必要と言われています。
水槽でもバケツでもタライでも、魚の数に対して十分な量の水が入る容器があれば、メダカは飼育できます。止水とは、容器に水を溜めただけの状態の水です。特別な観賞魚用の設備はついていない、睡蓮鉢とかそういう状況です。
メダカ専用の餌が市販されていますので、毎日、適量の餌を与えて、時々、水を交換してあげれば、メダカは飼育できます。
本項ではこれまでに、水だけ槽の設置と広いポンプ槽の設置を心がけましょうというお話をしてきましたので、容器の大きさと水量は十分あります。
ところで、メダカポニックスの場合は、メダカを飼育するだけではなく、メダカの糞尿を、アクアポニックスとして作物の肥料にしたいわけですから、十分な水量のアクアポニックスシステム内に、わずかな数のメダカを飼育するのでは、作物に対する栄養分の供給が足りなくなります。
なので、ある程度、まとまった数のメダカを飼育したいところです。
具体的には、せめて30尾程度からスタートをしたいところなのですが、メダカの値段はピンキリです。ペットショップで、綺麗で珍しいメダカを、まとまった数、購入しようと考えると、結構な金額になってしまいます。
魚食性の魚の餌として売られている、いわゆるヒメダカであれば、安く購入できますので、メダカ飼育の練習として、そういったヒメダカから飼育を始めるという方法も良いでしょう。
もっとも、メダカに産卵をさせて増殖をするのは、そう難しい話ではないので、最初は数尾の観賞用メダカを購入して、少しずつメダカを増やしながら、作物栽培にも取り組んでいく、というやり方も可能です。
余談になりますが、メダカの子供は、必ずしも親と同じ色や模様、ヒレの形をした子供が生まれるわけではありません。
例えば、親はヒレが長くて、ラメ色にぴかぴか光っていたのに、子どもは何だか地味な色彩で、ヒレも短いといった場合が、普通にあります。
親と同じ姿形である子が多く生まれるほど、品種がよく固定されている、という言い方をするのですが、大概の新品種は、まだ、あまり品種が固定されていませんので、親と子は見た目が違っていて当たり前くらいのつもりで飼育してください。
だから、例えば、一尾数千円で売られているメダカを購入して、これを増やせば、いくらになるぞ、という皮算用は、あまり成立してくれません。
ざっくり言うと、値段が高いメダカほど、生まれてくる子供が親と同じ色柄模様である数は少なくて、値段が安いメダカほど、親と同じようなメダカが生まれる確率が高いと思っておきましょう。
本当は、親と子は、あまり似ていないけれども、その子供たち同士の子供、親から見ると孫にあたる世代は、自分の親よりも祖父母に似ている場合がある話もしたいところですが、本項とは関係のない話なので省略します。
話がそれました。
さて、とりあえず、何らかのメダカを魚飼育槽に、30尾泳がせたといたしましょう。
餌は、メダカ飼育専用の製品が、ホームセンターや百円均一ショップで売られていますので、それで結構です。お店によっては、スーパーマーケットでも売られています。
金魚や錦鯉の餌を、自分で小さく潰して与えても構いません。
筆者は、おもちゃみたいな小さなすり鉢とすりこぎを百円均一ショップで見つけたので、一組購入して愛用しています。
冬を除く朝晩、数分で食べきる程度の量の餌を与えましょう。
メダカは、寒い時期は餌を食べずに、温かくなるまで水底でじっとしている状態になりますので、冬期間の餌やりは不要です。
毎日、餌を与えながら魚の食べ具合を観察して、季節に応じて、食べ具合が良い時期は餌を増やして、寒くなり、あまり餌を食べなくなってきたならば、餌を減らすといった調整を行います。
可能であれば、朝晩だけではなく、日中も数回、餌を与えられると、なお良いです。
一度に沢山ではなく、少ない量に小分けして回数を多く与えるという方法が、大体の魚の場合の、餌やりの基本です。
また、冬場は作物の成長もお休みになりますので、配管内の水の凍結を防ぐため、屋外に氷が張る季節になったならば、アクアポニックスのポンプは停止させて、水の循環をお休みさせます。
金魚や錦鯉でアクアポニックスを行おうというのであれば、以上で魚の飼育方法の話は終了なのですが、メダカの場合は、産卵の話があるため、もう少し続けます。
一般的に、卵から生まれたばかりのメダカは、約二か月で成魚になります。
暖かい季節であれば、メダカの雌の成魚は、ほぼ毎日、産卵します。
透明な容器でメダカを飼育して、横から観察するとよくわかるのですが、メダカの雌の成魚は、おなかに卵をぶら下げながら泳いでいます。
もう卵を産んでいるので、産卵しちゃってるじゃん、とも言えますが、その卵を、水草などに付着させて、自分の体から離れさせる行為までが、俗に言う、メダカの産卵です。
雄の成魚がいれば、そこに至るまでの過程で、放精・受精が行われて、卵は、いわゆる受精卵になります。メダカの品種によって、放精・受精が得意な品種とそうでない品種があるのですが、やはり余談になるので、ここでは触れません。
メダカが卵をくっつけたくなるような物を、魚飼育槽に入れてあげましょう。
金魚や錦鯉を産卵させる場合のマストアイテムは、キンランという人工魚巣です。
要するに偽物の水草なのですが、あまり、メダカには人気がありません。
また、金魚や錦鯉のように一度に大量の卵を産卵する魚種と違って、メダカは、毎日、ちびちびと産卵を繰り返しますので、キンランを利用するのでは、効率が悪すぎます。
自然の水草であるホテイ草や、メダカ用の人工魚巣が各種売られていますので、それらをメダカが入った魚飼育槽内に浮かべておき、一週間に一度ぐらい取り出して交換するという行為を繰り返します。
屋外でメダカを飼育していると、魚飼育槽内に、緑色の糸のような藻が発生する場合があります。
魚を観賞する目的に対しては見苦しい藻なのですが、メダカは気にせず、そのような藻にも卵を産み付けます。
人工魚巣と一緒に、糸状の藻も取り出してください。
割りばしなどで、くるくると巻き取るようにすると、簡単に取れます。
取り出した人工魚巣やホテイ草、藻などは、水を張った別の容器に隔離します。
水さえ張れれば容器は何でも構わないのですが、筆者は、買った商品を持ち帰るためにスーパーに置かれている、鮮魚等が入っていた発泡スチロール箱をよく利用しています。
安い容器としては、百円均一ショップのバケツという手もあります。
メダカ飼育を本格的に行っている人は、本ブログでも紹介している、13リットルコンテナボックスを、よく使用されています。
コンテナボックスは、四角いし頑丈なので、使い勝手が良いです。
週に一回ずつ、別の容器にメダカのついた卵を取り出すわけですが、翌週は、同じ容器ではなく、また別の容器に卵を取り出すようにした方が、魚の成長を促せられます。
同じ容器に、別の週の卵を入れた場合、稚魚が孵化するタイミングに一週間ずつズレが生ずるため、後から生まれたメダカの稚魚は、先に生まれた稚魚に食べられてしまう恐れがあります。
食べられないにしても、早く生まれた稚魚が餌を独占してしまい、後から生まれた稚魚は、いつまでたっても大きくなれないという事態も考えられます。
そう考えると、毎週、一つずつ、卵用の容器が増えてしまいますので、あまりお金をかけずに手に入る容器の利用が一番です。
稚魚同士の共食いの危険はさておき、そもそもメダカが産卵した人工魚巣を、魚飼育槽から取り出す理由は、卵を親魚に食べられないようにするためです。
産んだ卵を、そのまま魚飼育槽に浮かべておくと、親魚たちは、卵や稚魚を食べてしまいます。
理想的には、毎日、卵がついた人工魚巣を取り出して隔離し、別の人工魚巣と交換することですが、水を張った容器と人工魚巣が大量に必要となりますので、スペース的にも、筆者は毎日ではなく、週に一回の交換にとどめています。
容器を置くスペースと、お世話をする時間に余裕がある方は、毎日、魚巣をとりだしてあげる方法が、メダカの数を早く増やすためには効率的です。
さらに効率的なのは、人工魚巣では無く、親メダカの側を取り出して、別の容器に移動させていく方法です。
メダカに産卵をさせる場合、卵がすべて魚巣に付着してくれれば良いのですが、現実には、魚巣に付着せずに水底に落下してしまう卵があります。
そのままにしておくと、落ちている卵を親メダカが食べてしまいますので、すべての卵を無駄なく孵化させたいと考える場合には、親メダカの移動が、有効な方法です。
気温によって変わりますが、10日から二週間くらいでメダカは孵化をして、容器の中に泳ぎだします。
孵化が済んだ人工魚巣は、水で洗って日に干せば、繰り返し使えます。
泳ぎだした稚魚には、親魚に与えているメダカ用の餌を、細かくすりつぶして与えるか、そのものずばり、メダカの稚魚用の餌が市販されていますので、そういった餌を与えてください。少量を回数多く与えると良いのは、親と同じです。
稚魚は、大体二ケ月で、成魚になるという話を、先ほどしました。
親と遜色がないくらい大きくなった稚魚は、どんどん親魚容器へ移動させて、空いた稚魚容器は、次の代の稚魚容器として使い回しましょう。
以上が、メダカ飼育の一連のルーチンです。
多くの稚魚を育てようとする場合は、稚魚容器が沢山必要になってしまいますが、あまり無理をする必要はありません。
親メダカ容器で産卵をさせたら、卵は別の容器へ移動させる。
基本的な注意点は、それだけです。
容器の数は、ご自分の避ける時間とスペースに合わせて調整してください。
次回、若干の補足のお話をして、メダカポニックスの項を終わります。
かにかに