下の図は、横連結式グローベッドの、一番シンプルな基本形です。
①魚の飼育容器より高い位置に、複数のグローベッドを置き、グローベッド同士をパイプで接続します。
②魚の飼育容器の水をポンプで吸い、それぞれのグローベッドの上から、散水します。
③グローベッドに散水された水は、軽石内を通過した後、接続されたパイプで集められ、魚の飼育容器に戻ります。
というのが、一番シンプルな基本形の仕組みです。
一番シンプルな基本形の欠点は、図では省略していますが、それぞれのグローベッドを魚飼育容器より高くするために、台が必要となる点です。
グローベッドの数が多くなればなるほど、構造が大がかりになってしまいます。
また、別の問題点として、万が一、グローベッドのどこかで水が溢れたりパイプが外れた場合、魚飼育容器内にポンプがあるため、水が減り続けてしまうという欠点があります。
仮にどこかで水漏れが発生し、魚飼育槽にグローベッドから水が戻ってこなくなっていたとしても、機械的にポンプは水を吸い上げ続けてしまうため、魚飼育槽内の水は、いずれ空になり、魚が死んでしまいます。
それらの欠点を改善して、現在、筆者が使用している横連結式グローベッドの構造が、下記の仕組みです。
魚飼育槽から直接ポンプで水を吸うのではなく、魚飼育槽にポンプで水を送り込み、魚飼育槽から溢れた水がグローベッドに流れていくようにしています。
仮にどこかで配管が外れて水が漏れる様な事態が生じても、魚飼育槽内にポンプはないので、満水状態から水は減りません。
水漏れで周辺が水浸しになる被害はあっても、魚が干上がって死ぬ事態だけは避けられます。
横連結式グローベッドシステムの製作に必要となる資器材一式のリストは、以下のとおりです。
①120リットルタライ
②13リットルボックスコンテナ
③A4ファイル籠 または キッチン水切り籠
④不織布
⑤軽石
⑥水中ポンプ及びホース
⑦塩ビ管及び継手類
⑧防鳥ネット または 金網
上部式グローベッドを製作する際の材料と、ほぼ変わりません。
まず、13リットルコンテナボックスに穴を開け、バルブソケットを接続します。
なお、穴開けなどの具体的な工作方法については、「アクアポニックスの基本の工作」をご覧下さい。
筆者は、バルブソケットの口径を20ミリメートルにしています。
口径が20ミリメートルであれば、水中ポンプで、口径13ミリメートルの塩ビ管から水を流入させても、自然流下で排水させうる気がするからです。
実際は、使用するポンプの能力で水の流量は変わってしまうため、穴の大きさや個数は、適宜、調整してみてください。
次いで、コンテナボックスとコンテナボックスを、塩ビ管とホースで接続します。
口径20ミリメートルの塩ビ管の外径は28ミリメートルです。
内径28ミリメートルのホースで、短く切った口径20ミリメートルの塩ビ管と塩ビ管を接続したパーツを製作して、コンテナボックスのバルブソケットに接続します。
バルブソケット同士を、直接、塩ビ管で接続しても良いのですが、間に柔らかいゴムホースを挟むことで、揺れや衝撃を緩和させようと意図があります。
面倒くさいと思われる方は、直接、バルブソケットを塩ビ管で接続して下さい。
コンテナボックスを、どのような向きに設置するべきかは、各家庭の条件によります。
将来的に、さらにグローベッドを追加する際のことも考えて設置場所を決めて下さい。
コンテナボックスとコンテナボックスの間の塩ビ管を、直線ではなく、適宜、継手で曲げながら設置すれば、ある程度、配管は自由にできます。
塩ビ管を接続した水路役となるコンテナボックスの上に、作物栽培槽(グローベッド)となるコンテナボックスを載せます。
グローベッド同士を一段で接続した場合の欠点と多段式にする利点は、
①グローベッド同士を一段で接続した場合、濾材が通水の邪魔をするため、ポンプが水を吸うスピードに、水が集まるスピードが負けて、ポンプが空運転となったり、水が溢れる場合がある。
②グローベッド同士を一段で接続した場合、グローベッドの下部が常時水に浸かっている状態になるため、作物の根が腐ったり、成長が阻害される場合がある。
③グローベッド同士を一段で接続した場合、濾材が目詰まりを起こすまでの期間が短くなり、溢れる頻度が高くなる。
④グローベッドを二段にした場合、グローベッド単独で取り外せるため、メンテナンスが楽。
⑤グローベッドを二段にした場合、下段は貯水槽になるため、システム全体として、水の総量が多くなり、水質の急変が避けられる。
⑥蒸発散で水が減った場合、ポンプが空運転をしてしまうが、グローベッドを二段にした場合、下段に水があるためポンプが吸える状態にある水の量が多く保て、水位の急低下が避けられることから、ポンプの空運転も避けられる。
などです。
濾過能力を上げるため、濾材の槽をさらに中間に追加して、三段方式にすることも可能です。
水中ポンプが吸い上げた水を、各グローベッドに散水するための塩ビ管を設置します。
塩ビ管には、小さな穴が開けてあるため、グローベッド上でシャワーのように水が注がれる仕組みです。
配管方法については、次回、別項でお話しします。
あとは、グローベッドに種を蒔くなり、苗を植えるなりします。
種を蒔いた場合は、発芽して、ある程度根が育つまでは、蒸発などで減少した水を足す目的もあわせて、ジョーロやホースでグローベッド内にこまめに水を撒いて下さい。
次回は、魚の飼育水をグローベッドまで導く、配管の工夫についてお話しします。
かにかに