以前もご紹介しましたが、下の図は、アクアポニックスの基本形を表現した模式図です。
「P」は、水を汲み上げるためのポンプを意味しています。
魚を飼育する容器の上に、砂利や軽石、または専用の濾材を満たした濾過槽(グローベッド)を設置します。
ポンプで、魚を飼育する容器の水を汲み上げ、濾過槽に流します。
濾過槽には、作物を植え付けます。
水は濾材の中を流下する過程で濾過され、濾過槽の底に開けられた穴から、魚を飼育する容器に戻ります。
やがて、再び、ポンプで汲み上げられて、濾過槽に送られます。
飼育槽→濾過槽→飼育槽→濾過槽と、水が循環する仕組みです。
基本的には、水槽用の上部式フィルターと同じ仕組みですが、異なる点は、濾過槽で作物を栽培する点です。
模式図なので、魚を飼育する容器に、直接、濾過槽が載っているように描きましたが、実際には、濾過槽の重さで飼育容器が壊れてしまわないよう、濾過槽は別の台に載せて、排水のみ、魚の飼育容器に戻るように、配管で水を導く方式でも構いません。
下の写真は、水槽の場合とタライの場合の一例です。
現在は、後でお話しする別の方式に変えてしまったため、実物は分解してしまいましたが、筆者がアクアポニックスの取り組みを始めた、初期の頃に使っていました。
だからといって、失敗例というわけではなく、『はじめに』でお話ししましたように、家庭で使うすべての野菜を賄うことはできませんが、小松菜なら小松菜だけに作物を絞って、週に一束か二束程度購入する野菜を半自給自足することは、十分に可能です。
以下に、製作に必要となる資器材一式のリストを載せます。
①120リットルタライ
②13リットルボックスコンテナ
③A4ファイル籠
④不織布
⑤軽石
⑥水中ポンプ及びホース
⑦塩ビ管類
⑧防鳥ネットまたは金網
水槽と上部式フィルターのセットを既にお持ちの方は、そのセットを準用して利用することも可能ですが、市販の上部式 フィルターは、濾過槽の容量が圧倒的に小さいです。
濾過槽が、作物栽培槽となりますので、濾過槽の容量は大きいに超したことはありません。
市販の上部式フィルターでは、いずれ物足りなくなる日が来ると思いますので、ここでは、何もない状態から、資器材を用意します。
濾過槽兼作物栽培槽については、一通りのアクアポニックスシステム設置後に増設して、連結方式で増やしていくことを想定しています。
もっと、簡単にとりあえずアクアポニックスというものを経験してみようという場合は、第0章で紹介したアクアポニックスシステムを真似して設置して下さい。
本章では、将来的な増設を念頭に置いた、アクアポニックスシステムを紹介していきます。
かにかに