魚の飼育容器からグローベッドまで水を運ぶ、パイプ配管の製作です。
ポンプで魚の飼育容器に汲み上げられた水は、一定水位以上に水がたまると、容器の壁面に開いた穴から接続されたパイプを通って、グローベッドまで流下します。
上の図で、飼育容器からグローベッドに向かうパイプを意味する右向き矢印が、心持ち、右下がりになっていることがわかるでしょうか?
容器から流れ出した水は、『水は高いところから低いところへ流れる』という、自然流下の力のみで運ばれます。
ですから、魚の飼育容器の水面と一つ目のグローベッド上のパイプを比べると、水面よりパイプのほうが低くなければなりません。
同じ理由で一つ目のグローベッド上のパイプより、二つ目のグローベッド上のパイプが、さらに三つ目のグローベッドのパイプのほうが、次第に低くなっている必要があります。
ご自分のシステムのパイプの勾配が、どの程度だと、各グローベッドに流下する水の量が同じぐらいになるかは、試しに水を流しながら、パイプを上下させて調整します。
また、手前のパイプほど、グローベッドに水を垂らすための穴の数を少なくし、飼育容器から遠いパイプほど、穴の数を多くするといった工夫も有効です。
飼育容器から流れ出す穴とパイプが一箇所だけだと、万が一、何らかの理由でパイプが詰まると、ポンプで汲み上げた水が出口をなくして、容器から溢れます。
ですから、出口は、二つ以上あることが理想です。
上の図では、Pマークの下に、青い線が二本あり、右側で繋がり、コの字を逆にしたような形になっていますが、この逆コの字が、パイプ配管を意味しています。
ポンプで、魚の飼育容器に汲み上げられた水は、コの字の配管を通って、グローベッドにシャワーのように散水され、グローベッドの濾材を通過後に左向きに流れながら集められて、再び、ポンプ槽に戻る仕組みです。
パイプに開けられた穴から流れる水の勢いは、飼育容器から遠いほど弱まります。
遠いほど弱まるのは仕方がないので、二本のパイプを連結して、連結用のパイプに開いた穴の分だけ、グローベッド内にパイプの穴から落ちる水の量を増やしてやることで、二つあるグローベッドの、左右それぞれに滴る水の量をなるべく同じぐらいにしようと工夫しています。
やはり、パイプを上下させて勾配を調整し、穴から落ちる水の勢いを調節します。
上の写真のシステムでは、水は右から左に向かって流れていますが、単なるコの字型にパイプを連結させるだけではなく、手前側でも連結させたり、途中にグローベッド中央付近まで伸びる短いパイプを繋ぐなどして、グローベッド内に流れ込む水の量を、それぞれのグローベッドで、できるだけ同じぐらいになるように工夫しています。
グローベッド内に、直接、種を蒔く場合は、場所により水が多い少ないの差がありますので、芽が出て、ある程度根が伸びるまでは、ジョーロなどで、毎日、水をかけた方がうまくいきます。
パイプとパイプの接続は、塩ビ管用の各種継ぎ手で接続します。
パイプとポンプを直接繋いで水を流す場合は、パイプに強い水圧がかかるため、圧力で継ぎ手が抜けてしまう場合があります。
そのため、継ぎ手は、塩ビ管用の接着剤で、接着する必要があります。
このシステムでは、配管内を流れる水は、自然流下です。
配管に、それほど強い圧力はかからないため、パイプは、継ぎ手に強く押し込んではめるだけで、基本的には接着は行っていません。
そのため、パイプと継ぎ手を抜き差しするだけで、簡単に配管をやり直せるという利点があります。
ただし、押し込みが弱いと、接続部から水が漏れます。
また、何か物がぶつかったり、自分で手足を引っかけてしまったりして、接続したパイプと継ぎ手が外れてしまうこともあります。
気づかぬままだと、水漏れで、大惨事を招くこともありますので、継ぎ手にはパイプを強く差し込んで、毎日、水漏れの有無を確認しましょう。
目視だけでなく、時々、継手部を押し込みなおすと、さらに良いです。
また、万が一、水が漏れて流れだしても、被害が生じない場所であることも大切です。
グローベッドの作物は、真夏の日中でもない限り、水が切れても、いきなり枯れてしまう恐れはあまりありませんが、魚の飼育容器が空になってしまうと、魚が死んでしまいますので、その点は、特に注意が必要です。
魚が生きていてこそのアクアポニックスです。
水位の確認は、怠らないようにして下さい。
かにかに